NPO地域交流センター主催

「船員の居場所から日本海運を見てみよう!」
                全日本内航船員の会


H17.10.5

東京新橋 都市小屋サロン「SHU」
19:00〜21:30


 平成17年10月5日、「全日本内航船員の会」としては初めてオカの人を対象に海事PRをする機会に恵まれました。主催はNPO法人地域交流センターで、センター職員の積極的な協力によって実現しました。

 

 オカで取組まれてきた海事PR、水際交流活動の多くが海運に結びつくことが出来ず、趣味の域を出れずにきたこと。社会性の高い海事PRには国内海運と市民社会とのキズナや役割の紹介が不可欠であること。さらには我々の町が、実は大自然の脅威にさらされ続けている小さな地域に過ぎないという実像。
 地域生活の現実から物流の重要性を、船員自身が伝えざるを得ない現状への焦りが共感を得て、この度の海事PR会への運びとなりました。

 勿論、当会の活動方針が、船員現場の把握に基づいて現場世界に何を提供していけるかである事には変わりありません。船員が鼻をつまみたくなるような海事PRの時代も長くありましたが、「真の海事PR」は、その効果 を船員世界へ必ず還元できるものであることを、この機会に考えさせられました。

 不言実行の価値観に生きる勇ましい船員世界を船員自身がPRすることは、本当は恥ずかしいことでもあります。しかし、これからの後輩船員のために、開かれた海洋国発展のために、現場船員の方もご協力ください。情報提供のほか、自ら海事PRをやっていきたいと思われる船員、元船員の方からの連絡もお待ちしております。船員、元船員の感性はオカにいては少数派であっても、決して間違った考え方ではありません!

 この二つの文化のギャップを縮める活動は、実はオカの生活者一人一人の心に埋もれてしまった海洋民の感性を呼び戻してもらうだけの事のようにも思います。船員と共にある社会、物流を日本のカタチとして連想できるような豊かな社会観を文化として確認できた時、現場船員はこの国のヒーローになると信じております。

 


「船員の居場所から日本海運を見てみよう!」セットリスト

1・内航って何?
 ・内航シェア
 ・小型内航船
 ・真剣な海事PRって…
 ・「スマートで、目先が利いて几帳面。負けじ魂、これぞ船乗り」

2 写真スライド(50)で追う内航船現場
   RORO式貨物船「神明丸」乗船取材時の写真解説

3 内航世界に山積する問題
 ・船員減少
 ・海技の継承
 ・現場の供食問題
 ・現場環境の情報化の遅れ
 ・業界の構造的問題

4 船員生活1日体験
  イラストを使った紙芝居形式

5・未来への様々な取組み
 ・「全日本内航船員の会」での取組み
 ・内航海運-海事PRビデオ「海洋から未来をひらく!」の製作公開
 ・内航船員応援賛同ミュージシャン「Rio」の紹介

(あくまで準備リストであり、実際にはこの通 りにはなりませんでした)


エピソード

・どうして危険なのに船員なんてやっているんですか?

・忙しい仕事なら銀行員だって忙しいと聞いたことがある。

という意見なども出ました。

 

 人間が生きていくためには避けられないことが沢山あります。
我々の食料を育てあげる農家、畜産、漁師のみなさんの多くも、仕事自体は苦しくとも少なからず社会との繋がりを見いだして労働に励んでいます。そして、その公共意識こそが仕事に対する誇りにもなっています。

 実は物流も我々の「食」や「社会生活」を支える重要な役割の一つなのですが、そのことがあまり意識されないでいる実状は、非常に残念なことです。
 科学技術が発達したとはいえ、大量のモノを遠くへ運ぶためには未だ海運は欠かせません。それは飛行機にも鉄道にも不得意な分野なのです。むしろ、科学技術の発展、進歩によって社会が複雑になればなるほどに、国内物流における海運の役割は益々重要なものになっています。

 船員が嵐の中でも安定的な物流維持に励む姿は、誰の目に触れることもありません。しかし、日常生活の中に溢れるあらゆる製品やその原料のムコウ側に、この日本島の周囲を昼夜走り回る船舶群の姿を見ていただきたいと思います。

 我々の食料を育てる人、そして運ぶ人、料理する人…。社会は色々な人の気持ちと手があって上手く廻っています。
とても幸せな現実…。

 ところで、本当はどんな仕事に就く人でも、その仕事の中に公共性や社会性を見いだす事は出来るはずです。 日本船員はオカの光を見つめてそう思います。

全日本内航船員の会    

 最後に、この海事PRを企画してくださいましたセンター職員の山口様、数々のセミナー活動の実績がありPRの進行上のご指導をいただきました遠藤様、応援をくださいました全ての皆様にこの場をかりて心から御礼申し上げます。

(ご意見・ご感想をおまちしております)